小さなことで「あれ?」と思う人は、あらゆる局面で「あれ?」が積み重なっていく

自ら仕事を生み出すしくみを持っていないフリーライターの場合、発注者から依頼された仕事を請け負って口を糊しています。

このフリーライターの立場を強引に流しそうめんに例えると、下流で割り箸を広げ、そうめんをいまかいまかと待ち構えている人という感じになるでしょうか。

例えの良し悪しはともかく。

仕事の流れという意味では、フリーライターは下流の立場で立ち回ることが少なくありません。だからでしょうか、上流の人たちのそうめんの流し方が気になるときがあります。

下流の立場の人間がそうめんをすくいやすくなるよう、気を遣ってもらっているのがわかる人がいれば、下流などお構いなしにそうめんをかき乱す人がいたり。

あるいは下流まで下りてきて一緒に食べてくれる人がいれば、上流からそうめんの本数を無理やり指定するようなタイプの人がいたり。

幸い、ぼくが仕事をご一緒しているクライアントの方々は、そうめんを一緒に食べてくれる人がほんと多い。建前で言っているのではなく事実です。

***

ですが、そうめんの流し方が気になる人が過去にいたことはありました。

仕事のやりとりに置き換えると、たとえば電話やメールで「追って連絡します」と言ったものの、そのままなしのつぶてだったり。

些細なことかもしれません。相手の反応を待つのではなく、自分から連絡すれば済む話だったりします。

ですが、小さなことで「あれ?」と思う方は、そのほかのあらゆる局面でも「あれ?」が積み重なっていくように思います。

***

どちらの足から靴を履くのか意識している人はおそらくいないように、習慣は一挙手一投足を支配しています。

習慣とは、自らの思考や行動を無意識の領域に一任するようなもので、自動車でいうと自動運転ととらえられるかもしれません。

たしかに効率的ですが、悪い習慣が身についてしまうと厄介なことになります。自動運転のプログラムが間違っていると大変なように。

仮に、小さな約束を守らないことが習慣になってしまうと、本人も意識しないうちに、相手に対して失礼な言説を繰り返してしまう可能性が高まるように思います。

***

ぼくがクライアントさんの対応に気づくときがあるように、クライアントさんもぼくの一挙手一投足をつぶさにチェックされています。

自分自身も見られていることを忘れないように。

小事は大事、一事が万事を習慣化できるように。

自分自身の戒めのために意識していることです。

関連記事はこちら→『フラクタル理論―人間は地球であり、地球は人間である?

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フリーライターが選んだ仕事に便利な100均グッズ

 

ちょっとした小物を使うことで仕事の効率は意外と上がるもの。ここではフリーライターのぼくが実際に仕事で使っている100均の便利グッズを集めてみました。

① ダイソーのブックスタンド(本を開いたまま立てるスタンド)

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このダイソーのブックスタンドは100均グッズの中で最も重宝しています。

専門的な内容の文章を書く場合、参考書籍を見ながら執筆する機会も少なくありません。

これまでは本を手で押しつけて開きやすくしたり、重りを乗せたりして対処していました。でも分厚い本の場合は途中で閉じてしまい、イライラした経験は数知れず。

そんな面倒も100円で解決です。

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お金を出せばグッズの選択肢は広がりますが、これを使えば問題はほぼ解決です。

難点は、本を差し込む際に表紙がひっかかりやすいことかな。でも大きな問題ではありません。

※後日追記:アマゾンでこのダイソーと同じ商品(『折りたたみ式 ブックスタンド』)が580円で販売されているのを発見。みなさん、ダイソーだと100円ですよー。

 

② セリアのフィルム素材の5色の付箋

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まず素材がフィルムで透明性が高く、文字などが透けて見えるので便利です。

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さらにこの付箋のポイントは色展開です。

とくに書籍ライターにとって使いやすいはず。というのも書籍の章展開を5色に見立て、1章の参考箇所は青、2章の参考箇所はピンク、というように分類できるからです。

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書籍の原稿を書く際の付箋の使い方は自分なりのルールがあります。機会があれば紹介します。

この付箋の難点は、1枚ずつ取り出すのがちょっと面倒な点。ポストイットの「しるす」ジョーブシリーズはポップアップ式で便利です。

 

③ ダイソーの両面テープ付き面ファスナー(中)

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コンセント類の収納に必須のアイテム。

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写真のようにデスクの裏側にOAタップをこの面ファスナーで張りつけてコンセント類を目立たなくしています。

※後日追記:時間が経つとはがれてくることが判明。もう少し軽いものをつける場合はだいじょうぶかも?

※後日再追記:結局、ダイソーのこの面ファスナーではOAタップの荷重に耐えきれないことが判明。一見、強力そうなんだけど、時間が経つとはがれてしまう。そこで購入したのが、セリアで見つけた「ボンドの両面テープ」。

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これはかなり強力っぽい。ちょっと様子を見てみることにします。

後日追記:このボンドの両面テープはおそろしいほど強力で、OAタップをがっちり固定してびくともしません。というか、もう、はがせないかもしれない。。

後日再追記:ある日、仕事をしていたら、足元から猫が鳴いたような奇妙な音がしたので驚いて覗き込んでみると、なんとOAタップがだらりと垂れさがっていました。ボンドの両面テープでもけっきょくはがれました。。そもそもOAタップが重すぎるのか。横向きにつけているけど、縦向きならはがれにくいかも。もっと強力なテープを求めた旅は続きます(笑)

 

④ セリアのミニブックスタンド

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これが意外と便利。

引き出しの収納の区切りに使ったりしています(見にくいですが)。

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⑤ ダイソーのゲルインクボールペン

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これは改善を希望するアイテムでもあります。

このダイソーのゲルインクボールペンのリフィルは、パーカーやペリカンなどのボールペンと互換性があります。海外ブランドの純正リフィルは800円ほどしますが、これは100円でリフィルが2本。経済性は抜群です。

書き心地はギリギリ及第点ですが、問題が2つ。

1つはインクの渇きが悪い点。もう1つはインク(主に赤)の途中に空気の隙間があり、途中で書けなくなるという致命的な欠点。

この2点が改善されると使用に耐えるグッズになるかなと思います。

※2016年3月追記:最近ダイソーでこの商品を確認したところ、インクの空気溜まりは(購入して使用はしていませんが)解消されていた模様。

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「凡事徹底」を目につく場所に

イエローハット創業者の鍵山秀三郎氏の著書で『凡事徹底 (活学叢書)』(英知出版社)という本があります。

凡事――つまり当たり前のこと、単純なことを極めていくことが絶対差を生む道と説かれています。

鍵山氏は、半世紀にわたり毎日掃除をやり続けるという凡事の積み重ねがイエローハットをつくった、とおっしゃっています。

ぼくはこの本を本棚に入れて、「凡事徹底」というタイトルが常に目に入るようにしています。

凡事徹底。

この四字熟語を目にすると、曲がっていた背骨がすーっと伸びる気がします(笑)。ずぼらな人間は、そうやって気づきのきっかけを四方八方に張り巡らせておかないとダラけてしまうのです。

***

では凡事とは具体的に何か。

書籍『凡事徹底』では、福沢諭吉が大切にしていたとされる「鄙事多能(ひじたのう)」という言葉を例にあげ、

先生(福沢諭吉)は鄙事、つまり普通の人たちが雑事と片づける細々としたこと、例えば、朝起きたら布団をたたむとか雨戸を開けるとか、ちょっと家の前を掃くとか、そういった身辺の雑事に対していつも多能で、器用でなければならないと教えております。

としています。

*鄙事とは、簡単で誰にでも出来る些細な事。多能とは、器用にこなす能力。孔子の言葉とされる。

ようするに凡事とは日々の生活の雑事のことで、若干の飛躍をゆるしてもらえるのなら「ルーティン」と言い換えることもできるかもしれません。

雑事、ルーティンを当たり前のように継続できる人は、日々の生活だけでなく、仕事も充実させられる、というふうに理解しています。

***

凡事徹底の境地からは程遠い自分がふだん、かろうじて心がけていることが2つあります。

1つは、カラダの補強。

腕立て伏せとか腹筋とかスクワットとか、そういうやつです。

フリーになった30歳から現在(2016年2月現在で38歳)まで8年間、風呂に入る前に数種類の補強を続けてきました。とはいえ毎日ではなく、週3~4回ほど。

それでも「継続は力なり」で、この8年間で体型はほとんど変わりません。

もう1つはご先祖様への挨拶。

朝は仕事部屋で、夜は布団の上で手を合わせ、いつも決まった言葉を心の中でつぶやいています。

だから何だと言われても、その先は何もないのですが(笑)。

取り組む内容そのものよりも、ちょっとしたことをいかに継続するか、その心がけが思考を変え、行動を変え、結果を変えていくのかなと思っています。

関連記事はこちら
「流しそうめん」と「一事が万事」
「フラクタル理論」と「一事が万事」

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ライターのぼくが時間を大切にするようになった失敗談(3)

③ 自分の失態で誰かの信用に傷をつけるリスクを知った

フリーライターになってからの8年間で2回の遅刻。1つは、「ライターのぼくが時間を大切にするようになった失敗談(2)」で取り上げました。

もう1つは完全に自分のミス。ぼくが時間にこだわる原体験の2つ目でもあります。この話にふれるのは勇気がいりますが、自戒を込めて書き残しておきます。

***

その恐怖の電話は突然、やってきました。

「高橋さん、いまどこですか?」

ぼくは自宅のデスクで原稿に追われていた最中で、

「家で原稿を書いていますよ」

と答えました。

「えっ」

と電話先の相手の方。

「取材、今日ですよ……〇〇で待っています」

あまりにもの衝撃で、さまざまな思いが脳裏を駆け巡りました。

しかし力づくで我を取り戻し、すぐ取材の依頼メールと自分の手帳を見比べて、

「終わった」

と首を垂れました。

間違えていたのはもちろん自分で、待ち合わせの時間だったまさにそのとき、自宅のデスクにいたのです。

***

次の瞬間、ある方の顔が思い浮かびました。

ぼくとクライアントをつないでいただいている方です。ぼくが遅れた場合、その方に迷惑がかかるのは明白でした。

自分が全責任を被るのならまだしも、自らの失態でほかの誰かの信用に傷をつけることになる。

これほど辛いことはありません。

倒れそうになるのを踏ん張りながら、即座に取材の準備をして家を飛び出し、現地に直行。関係者の方々のあたたかいご協力のもと、何とか乗り切りました。

仕事を失う覚悟をしていましたが、その後も継続して発注いただいています。このご恩は一生をかけて返していこう、そう心に留め置いています。

***

何のとりえもないライターですが、唯一、自信を持っていたのは「時間を守る」ことでした。

ぼくの父方の祖父は「時計のように正確な人」と近所の人たちの評判だったそうです。毎朝、決まった時間に家を出て、同じ道を歩いて仕事に通っていたからです。

その祖父の血を受け継いだ父も同じような性格の人で、その祖父と父の血を受け継いだ自分も時間を大切にしていました。

ところが、自分の背筋を伸ばしていたその自信が、失態によって完全に折れてしまったのです。

もう二度と同じ失敗は繰り返さない。その宣言のために、あえてこの話を書きました。

***

なぜ取材の日にちを間違えたのか。自分なりに頭を整理して原因をまとめました。それをもとに自分なりの再発防止策を立てて実行しています。

もう一度、自信を育てられるように。

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ライターのぼくが時間を大切にするようになった失敗談(2)

② 時間の管理を他人に委ねる甘さを痛感

ライターのぼくが時間を大切にするようになった失敗談(1)」で取り上げた失敗談では、遅れて迷惑をかけた相手はコピーライターの上司だけではもちろんありません。

クライアントの方々や監査を担当する人、その日の打ち合わせ先であるクライアントの事務所の担当者の方々も同様です。

さらにいえば、当時、ぼくが勤めていた広告制作プロダクションの信用にも傷がつくし、会社の最終責任者=社長という意味で考えると、プロダクションの社長にも迷惑をかけたことになる。

駆け出しのコピーライターの不注意で招いた遅刻が、多方面で信用を落とす結果につながってしまうわけです。

「そこまで考えるのは大げさでは?」

そう捉える人もいるかもしれませんが、そこまで考えていなければ後ろ盾がないフリーランスとして生きていくのは難しいと考えています。

***

2016年2月現在、フリーライターになって8年目です。この8年間で待ち合わせに遅れた経験は、恥ずかしながら2回あります。

1回目は、フリーに転身した年。

当時、ぼくは腕時計を使っておらず、携帯電話で時間を確認していました。

その日、午後からの取材のため、デザイナーさんと喫茶店で昼食をとっていました。ぼくは携帯をかばんに入れていましたが、デザイナーさんが時間を確認していたので、

(店を出る時間もデザイナーさんに任せよう)

とごく自然に思いました。

食後のコーヒーを飲み終えたころ、

「高橋君、そろそろ行こか」

ということで現地に向かいました。

結果――。

待ち合わせ時間に10分ほど遅刻してしまったのです。

デザイナーさんはとくに悪びれる様子もなく、「すいませんねー」という感じ。

ぼくは待たせた方に対して心底申し訳なく思ったし、時間の管理を他人に委ねた自分の判断の甘さに気づいて反省しました。

後日、腕時計を購入したのは言うまでもありません。

***

そのデザイナーさんの姿を見て、自身の行いを見つめ直しました。

遅れてしまったのは致し方ないにしても、相手に対する誠意に欠けていたからです。

(この人は相手の時間を奪う意味を理解していないのだな)と。

そのデザイナーさんは人生の大先輩のような年齢の方です。

その後もお付き合いをさせていただいているなか、時間に限らずルーズな面が散見されました。

どういう人が信用を得て、どういう人が失うのか。

考えるきっかけを与えてもらったように思います。

次回の記事はこちら→『ライターのぼくが時間を大切にするようになった失敗談(3)

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ライターのぼくが時間を大切にするようになった失敗談(1)

① 遅れることで迷惑をかける人を理解できていなかった

社会人としていちばん大事にしている心構えは何ですか?

そう聞かれると、

「時間に遅れないこと」

と迷いなく答えます。

待ち合わせの時間に遅れないのはもちろん、できる限り、自分が先に現地に着くよう心がけています。

具体的には、15分前には待ち合わせ場所に居るようにしています。(さらに現地には1時間ほど早くつき、近くのカフェなどで資料を読み込むなどしています)

***

これまで時間にルーズな人を何人も見てきました。

そうした人に共通するのは、時間に限らず、あらゆる面でルーズだということ。

一事が万事。

時間に対する姿勢が、すべての局面に表れる、そんな気がしてなりません。

***

時間にこだわるようになった原体験が2つあります。いずれも強烈な失敗談です。

1つ目は、10年以上も前の話。

広告制作プロダクションに入社し、コピーライターになって2年目のころ。

案件の打ち合わせのため、コピーライターの上司と大阪のJR環状線「西九条駅」で待ち合わせをしていました。

十分に間に合うよう家を出ましたが、何を思ったのか環状線を反対方向に乗ってしまい、待ち合わせ時間に5分ほど遅刻してしまったのです。

じつはこの日、クライアントの方々、その案件を監査する立場の方も一緒に待ち合わせをしていました。

・クライアントの方々
・監査をする人
・コピーライターの上司
・駆け出しコピーライターの高橋

この4つの立場の人が駅で落ち合い、クライアントの事業所に向かう予定だったのです。

遅れて到着したぼくは、上司の姿を見た瞬間に状況を理解しました。後輩が遅刻しているという局面のなか、上司はクライアントとの間を必死に持たせてくれていたのです。

***

自分が遅れることで最も迷惑をかけるのは誰なのか。

ぼくは正しく理解できていませんでした。

上司はクライアントを前にして、どれほど辛い思いをされたことか。

そう思うと、時間に対して甘い認識を持っていた自身を痛罵しました。

同時に、異なる立場の人が集まる待ち合わせでは、自分が遅れると誰に迷惑を与えるのか、常に考えるようになりました。

以降、待ち合わせにはギリギリ間に合う時間ではなく、最低でも15分前、しかも理想は自分がいちばん早く現地に着くこと、このように自身に課すことに決めたのです。

いまでも西九条駅に降り立つと、当時の苦い経験が頭をよぎります。

次回の記事はこちら→『ライターのぼくが時間を大切にするようになった失敗談(2)

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書籍ライターに求められる能力は文章力ではない?

書籍の執筆を専門に行うゴーストライターには文章力は求められない――。

ライティングのスキルに関する書籍やブログを読んでいると、そうした意見を目にすることがあります。

いやいや、そんなことは断じてありません。

ライターという職業人は文章を書く専門家です。書籍ライターに限っていえば、著者が表現しきれない思いや経験、ノウハウを読者に届くよう文章にまとめる役割を担っていますから、文章力はいわば生命線なわけです。

その肝心の文章力がなければ書籍ライターは務まりません。

ネタや企画を提案できるライターのほうが重宝、ヒアリング力が不可欠、コミュニケーション力のほうが大事、事実をベースとした実のある原稿が書ければ文章力はさほど問わない……いろいろ意見はあると思いますが、やはり文章力が備わっているのが前提です。

※ライターに求められるコミュニケーション力(『書籍ライターで生きていくには「コミュニケーション力」が絶対必要(1)』)、ヒアリング力については別項目を立てて、自分が大切にしていることをお伝えしていきます。

***

ライターの文章が多少下手でも、編集者がうまくまとめてくれる。

そういう声もあります。

編集者のなかには、ライターの原稿をあざやかにブラッシュアップし、構成・文章ともに、ひとクラス上のレベルに引き上げてしまう方もいます。

力のある編集者と組むことでライターが育つという側面もありますし、ぼく自身も編集者の方々の助言によって成長することができてきました。

ただし、書籍ライターに文章力は必要ない、文章が下手でも編集者が直してくれる、そうした甘えを抱いた時点でライター失格だと思うのです。

ライターはその道のプロですから、自らの文章を彫琢する努力を怠ってはならない、そう意識しています。

***

書籍ライターに文章力は必要ない、その真意はたぶん、こういうことだと思います。

小説のような美しい日本語を書く必要はなく、著者の伝えたい内容が読者に伝わる実用的な文章になっていれば、その巧拙は必ずしも問われることはない。

したがって書籍ライターに求められる文章力とは、

著者の伝えたい内容を、読者が知りたい情報に昇華させる力
読者が知りたい情報を、読者に届くよう文章としてまとめる力

ということになるでしょうか。

***

いくら美しい文章を書いたとしても、読者に伝わらなければ意味がありません。その点で「文章力は必要ない」という意見は頷けます。

しかし、読者に伝わる文章を書こうと思うと、あるいは編集者の手を煩わせないようにしようと思うと、書籍ライターにとって文章力は備わっていて当たり前、それを高める努力をするのがプロとしての矜持、となるはずです。

自戒を込めたライターの独り言です。

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書籍ライターに求められる能力の3要素。

『「コピーライターとフリーライターって何が違うの?」』でふれたように、書籍ライターは「代弁者」という立場が最大のポイントということでした。

どういうことか?

ライターの主観的見解を世に問うのではなく、あくまで著者自身の思いやスキルを代弁する立場ということです。

そのために書籍ライターに求められる要素は次の3つ。

① 引き出す
② 構成する
③ 書き著す

著者の思いやノウハウ、潜在的な考えなどを「引き出し」、その内容が読者に届くよう「構成」し、(著者が伝えたいように)読者に伝わる文章として「書き著す」こと。

「引き出す」ためにはヒアリング力が求められます。ぼくがインタビューで気をつけていることは別項目でお伝えします。

著者から本音を引き出すためには、大前提としてライター自身が著者から信頼されなければなりません。書籍ライターには著者と信頼関係を結ぶ人間力が不可欠です。

「構成する」ためには情報を整理する力が求められます。

個人的には書籍は「構成の美学」だと思っています。タイトルが書籍全体の軸となり、その軸に沿って章を展開する。各章には関連する項目が並ぶ。

書籍全体の構成が論理の飛躍や破綻なく、スムーズに流れてこそ、著者の思いが読者によどみなく伝わる本になる。

美しい本は、凛とした一本の立ち木のようです。

大地に根を張り、天に向かって太い幹を伸ばし、その幹から枝が分かれ、葉が生い茂り実をつける。

そういう立ち木は生命力があり、存在自体が神聖で美しい。構成が隅々にまで行き届いた本もそんな木の佇まい、生命力があります。

相手に伝わる読みやすい文章が書けるかどうかは、正直、この構成力にかかっているといってもいいかもしれません。

「書き著す」力はライターの真骨頂です。構成した材料を美味しく食べられるよう、いかに料理するか。情報の料理人としての腕が求められます。

文章を書くポイントはたくさんありますが、ぼくが大事にしている一つは、著名なブックライター・上阪さんが著書(『職業、ブックライター。』)で打ち出されていた「相場感」。

著者が伝えたい内容を、読者が読みたい内容に転換するためには、「世間の人たちが求めているもの=相場」を理解する感性が必要です。

ぼく自身、ここで説明した「3つの能力+人間力」を高いレベルで満たす領域にはまだまだ至っていませんが、編集者や著者に支えられながら、「一人でも多くの人の役に立つこと、一人でも多くの人に感動や喜び、希望を与えること」を目指して日々努力しています。

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「コピーライターとフリーライターって何が違うの?」

ライターをしているとたまに聞かれます。

「コピーライターとフリーライター、何が違うの?」

一緒といえば一緒なのですが、違うといえば違う。少なくともライター本人の心構えとしては、明らかに「違う」んです。

ものすごい独断で、おそろしく強引に「ライター」の種類を体系化してみました。

 

 

ライターの種類ざっくりいうと、「コピーライター」と「フリーライター系」に分かれ、フリーライターは「受身の仕事」と「署名記事の仕事」に細分化されるという感じです。

マトリクスで4つの領域に分類したほうが整理しやすいかもしれませんが、「代弁者的立場」と「主観的立場」に大別するためにあえてこの図のようにしました。(ジャーナリストやルポライターがこの位置づけなのかなど突っ込みどころ満載ですが…)

いろいろなライターがいる中で、コピーライターは図のように、広告のキャッチコピーを書く人。

本人の心構えとしては、クライアントを背負って立つ意識が強いです。クライアントの商品やサービスを売るための仕事ですから。

コピーライターは広告・広報・IRの文章担当の立場で、クライアントを強力にサポートしているという自負があります。

だから「コピーライター」という肩書をつけた時点で、「あなたの会社や商品・サービスを世に売り込むのが得意ですよ」と宣伝するようなもんです。

そのプレッシャーに耐えられるだけの実力と自信がある人は、「コピーライター」と名乗るのだと思います。

一方のフリーライターは、〝系〟とつけたようにライターの総称みたいなもの。実体はあいまいで、手がける媒体や得意分野が違ってきます。

それぞれの説明は割愛しますが、分類は「受身の仕事」と「署名記事の仕事」の2つ。

受身の仕事は「代弁者的立場」と言い換えも可能で、つまりは発注者がいて、その発注者の要求に忠実に応える、あるいは媒体の分野や特性を踏まえて文章を書く人。立場としてはコピーライターと似ていますね。

署名記事の仕事はそのままなので説明は省きます。

ぼくは「フリーライター系」の中でも「受身の仕事」、さらにその中の「書籍系ライター」です。

書籍ライターのスタンスは、あくまで著者の代弁者として一冊の書籍にまとめること。

この「代弁者」という立場が最大のポイントなんです(『書籍ライターに求められる能力の3要素。 』で続きを書いています)。

ライターの仕事は、実際にはこんなにきれいに体系化できません。得意とする媒体や専門分野を持ちながら、その周辺の仕事も請ける。それがライターです。

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「どうやってライターになったんですか?」

そう聞かれることがよくあります。

「ライターは専門性の高い職業なので、実績がないと仕事を得るのは難しいはず。でもどんなライターも実績のない素人時代があるわけだから、最初の一歩をどう踏み出した?」

そんな疑問も言外に含まれている気がします。

一概にいえませんが、ライターになる道は次の3つが王道の気がします(フリーランスのライター前提)。

①  広告代理店・広告制作プロダクション出身
②  出版社や編集プロダクション出身
③  新聞記者出身

※ウェブライター、ブログライターはここでははぶいています。

このうち、「③」はライターとしての実力は別格な気がします。

そのほか、「専門性の強い職業出身(金融やIT系企業で働いた経験をもとにライターに転身)」「リクルート関連企業出身」なども。

ぼくの場合は「①」。

大学卒業後に入った会社を「ライターになりたい!」と2年弱で退職。アジアを放浪したのち、パチンコ屋でバイトしながら大阪の広告制作プロダクションに履歴書を送り、素人ながら拾ってもらいました。

ここで疑問があるはず。

「素人なのに、どうやって採用された?」

広告関係の会社は即戦力を求めているので、基本、実績がないと採用されません。

ぼくの場合、最初に5社ほどのプロダクションに履歴書を送ったところ、連絡すらもらえませんでした。

そこで考えたんです。

「ライターの実績はないけど、文章は書けると思ってもらえばええんちゃうか」――と。

そこで履歴書を送る際、趣味で書いていたエッセイを同封したんです。

するとある広告制作プロダクションから面接に呼ばれました。

面接時の社長さんの言葉が忘れられません。

「エッセイ読んだで。下手くそやな。でも人情の機敏を感じる文章や。コピーライターは人の心を打つコピーを書く専門家。君やったらいけるんちゃうか」

履歴書に同封したしょーもないエッセイが採用の決め手になったわけでした。

その社長さんの心を動かしたという点で、冗談ではなく、すでにぼくは立派なコピーライターだったわけです。

ライターになりたい人は実績はなくても、その実績に変わるもの――具体的には「自分は書ける」ことを証明する何かをアピールすることです。

ぼくが採用されたのは2002年。ブログもない時代でした。いまはウェブを通じて自分の文章を発表できます。

ライター第一歩は、〝自分という商品を売り込み、相手の心を動かす文章を書くこと〟から始まるわけですね。

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