② 時間の管理を他人に委ねる甘さを痛感
「ライターのぼくが時間を大切にするようになった失敗談(1)」で取り上げた失敗談では、遅れて迷惑をかけた相手はコピーライターの上司だけではもちろんありません。
クライアントの方々や監査を担当する人、その日の打ち合わせ先であるクライアントの事務所の担当者の方々も同様です。
さらにいえば、当時、ぼくが勤めていた広告制作プロダクションの信用にも傷がつくし、会社の最終責任者=社長という意味で考えると、プロダクションの社長にも迷惑をかけたことになる。
駆け出しのコピーライターの不注意で招いた遅刻が、多方面で信用を落とす結果につながってしまうわけです。
「そこまで考えるのは大げさでは?」
そう捉える人もいるかもしれませんが、そこまで考えていなければ後ろ盾がないフリーランスとして生きていくのは難しいと考えています。
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2016年2月現在、フリーライターになって8年目です。この8年間で待ち合わせに遅れた経験は、恥ずかしながら2回あります。
1回目は、フリーに転身した年。
当時、ぼくは腕時計を使っておらず、携帯電話で時間を確認していました。
その日、午後からの取材のため、デザイナーさんと喫茶店で昼食をとっていました。ぼくは携帯をかばんに入れていましたが、デザイナーさんが時間を確認していたので、
(店を出る時間もデザイナーさんに任せよう)
とごく自然に思いました。
食後のコーヒーを飲み終えたころ、
「高橋君、そろそろ行こか」
ということで現地に向かいました。
結果――。
待ち合わせ時間に10分ほど遅刻してしまったのです。
デザイナーさんはとくに悪びれる様子もなく、「すいませんねー」という感じ。
ぼくは待たせた方に対して心底申し訳なく思ったし、時間の管理を他人に委ねた自分の判断の甘さに気づいて反省しました。
後日、腕時計を購入したのは言うまでもありません。
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そのデザイナーさんの姿を見て、自身の行いを見つめ直しました。
遅れてしまったのは致し方ないにしても、相手に対する誠意に欠けていたからです。
(この人は相手の時間を奪う意味を理解していないのだな)と。
そのデザイナーさんは人生の大先輩のような年齢の方です。
その後もお付き合いをさせていただいているなか、時間に限らずルーズな面が散見されました。
どういう人が信用を得て、どういう人が失うのか。
考えるきっかけを与えてもらったように思います。
次回の記事はこちら→『ライターのぼくが時間を大切にするようになった失敗談(3)』