『文章のかたちとこころ』(尾川正二著)を読んで。

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長く積ん読状態にあった尾川正二先生の『文章のかたちとこころ―書くということ (ちくま学芸文庫)』を読了。尾川先生の文章関連の本は清水幾太郎先生の『論文の書き方 (岩波新書)』に代表される文章関連の本とともに座右の書となっています。

『文章のかたちとこころ』はタイトルどおり文章の表現や形式といった「かたち」の解説にとどまらず、「こころ」とことばのかかわりまで示唆してくれる本です。かたちにこだわるだけでなく、こころにまで踏み込むことで、気品と節度をもった文章が書けるようになる、そう教えてくれます。

打ちのめされたなあ。

〝いい文章〟が書けるようになるまで、いったいどれほどの修練が必要なのだろう。

こころに響いた内容のほんの一部を以下に。

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  • 知らないことは語らぬこと。空虚であればあるほど、充実感を装う冗漫な文章になり、スピード感を失う。
  • 作意的になったり、窮屈なことばに頼ると、空疎さを暴露するにとどまる。
  • 自分への信頼――自分の眼、自己への誠実、それが生きた文章を創造する。

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ブックライターとは、極端にいえば自分がよく知らないこと、自分の専門外のことを著者に成り代わって書く専門家といえます。でも尾川先生は、知らないことを語ろうとすると「充実感を装う冗漫な文章」になるから注意せよとぼくに語りかける。

ブックライターとしての取り組み姿勢。自分のことばで生きた文章を書けるようになるまで、担当する書籍の分野についてよく学べ、そう忠告を受けたようで身がひきしまる。

『文章のかたちとこころ』にはこんな一文もありました。

  • 文章を書くということは、一人の人間の能力全部を出し尽くすということである。

結局、ライターとしての実力を高めるには、自分を磨くしかないのか。先が長いなあ。

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