先日、姉が娘(ぼくの姪っ子)を連れて実家に帰省していて、両親を含めて家族で食事に行くことになりました。といってもぼくは仕事で行けなかったのですが、嫁さんから面白い話を聞いたので少し。
食事の席で、おかんが父親にこう言ったそうです。
「お父さん、わたしのうどん、食べてくれへん?」
これに対して父親はどう返したか。
「なんでどい」
「なんでどいって、お父さん、もう……」
このやりとりを見ていた嫁さんは内心笑えたそうです。
なんでどい……笑。
これは生粋の播州弁で、ふつうの表現にすると
「なんで?」
という程度の意味です。
そのいたってふつうの言葉に
「どい」
がついてしまうから様子がちがってきてしまうんですね。
播州弁とは文字どおり播州(播磨)地域に伝わる方言で、ぼくが住んでいる加東市(北播磨)もばりばり播州弁の地域です。嫁さんは但馬の人なので、播州弁の話し方は怒っているみたいでこわい、と常々言っています。
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大阪弁で「お前なんやねん」を播州弁に変換すると
「お前なんどいや」
になります。
極めつけはやっぱりこの方言。
「だぼ」
これは大阪弁でいう「アホ」の最上級のような表現で、
「お前だぼこ」
というような感じで使用します。
文字にすると弱そうというか、間抜けな印象になりますが、
発音するとドスのきいたコワイ声音になります。
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冒頭の母と父のやりとり。
まず前提がおかしいですね。
「お父さん、わたしのうどん、食べてくれへん?」と明確に聞いているんだから、「イエス」or「ノー」で答えられる話です。
それを「なんでどい(なんで?)」と質問を質問で返してしまっている時点で会話が成立していないおかしさがあるうえ、そのおかしさを播州弁のおそろしい声音で変な方向にねじ曲げてしまっている愉快さがあります。
変な方向というのは、母の質問とそれを受けた父の返答の主従が逆転し、見事に「父の勝利」に帰着しまっているという(笑)
ぼくも嫁さんに怒られたときなんかに、「なんでどい」と強気に切り返してみようかなあ(笑)
※ちなみに現在のぼくは「だぼこ」とか「なんでどい」とかは言いません。あしからず。