著者から話を伺って、聞き書きのスタイルで一冊の書籍を書き上げる仕事をしています。
こういうタイプのライターを世間一般では「ゴーストライター」、このブログでは「書籍ライター」「ブックライター」と呼んでいます。
ゴーストライターをずっとやっていると、聞き書きスタイルで書かれた本をなんとなく見わけられるようになってきました。
ゴーストライターがまとめた書籍の原稿はたしかに読みやすいです。でも反面、内容が薄いことがある。
極端にいうと、たった一文で済む内容を2000文字にまでふくらませているような。
本題に入るまでの導入や例え話がやたら長く、ようやく本題に入ったかと思うと、早くも締めに向かい、「あ、この一文を言いたいための展開だったのね」と納得するという。
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ぜんぶがそうではありません。
優秀なゴーストライターが書いた本は著者ご本人がまとめるよりも文章的に読みやすいのはもちろん、内容自体も幾度のインタビューを通してアウフヘーベンしているため、濃密で、論旨も通っている。
インタビューの目的は、著者がすでに自覚している考えを引き出す側面と、著者に気づきを得ていただく側面のふたつがあるように思います。
とくに後者が重要で、取材のやりとりを重ねるうちに著者の頭の中で化学反応が起きて、これまで漠然としていた思いを整理してもらったり、新たな考えやアイデアを思いついてもらったりすると、インタビュアーとしては「よっしゃ」と心でガッツポーズすることになります。
そんな有意義な取材を経て書かれた原稿は内容的にも濃くなるように思います。
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著者自身の手によって書かれた原稿は多少難解な面もあるかもしれないけれど、その一文、その一文字のすべてに背景があります。
これまでの経験が文章に凝縮して乗っかっているから、その一文、その一文字に、すべて物語がある。だから深い。読みにくくても、そういう本に出合うとうれしいです。
一文を2000文字にふくらませるような書き方ではなく、著者自身がこういうことを言いたかったと膝を打つような原稿をもっともっと書けるように、少しずつでも成長していきたいと思います。
書籍の実績はこちら⇒(ゴーストライター 実績)