『自己防衛の手段として「左手」を犠牲にしてきた』で左手を握りしめる癖があるとお伝えしました。じつはそれだけでなく、口も無意識に噛みしめていることが多いです。
原稿を書いているとき、車を運転しているとき、テレビを見ているとき、風呂に入っているとき……集中したりぼーっとしたりしているあらゆる時間、ふと気づくと食いしばるように強く噛みしめているんです。
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口の食いしばりはちょっと心配な面があります。
以前、頭痛がひどい時期がありました。体調を崩したわけでもないのに、突然、頭が割れるように痛くなる。そうなると仕事なんてできないから、頭痛薬をのんで布団にもぐりこむことになります。薬が効いてひと眠りしたら、だいぶ楽になります。
あるときから、食いしばりが頭痛の原因になっているんじゃないかと思うようになりました。
きっかけは、自分のくちびるをめくった際に見てしまった……歯茎の衝撃の姿です。まるでこぶができたように、歯茎の骨が異様に飛び出していたのです。
これは歯茎の「骨隆起」と呼ぶらしく、食いしばりが強い人に多く見られるとのこと。ぼくは起きている時間帯の噛みしめに加え、寝ている間の食いしばりもかなりひどい。
目覚めた時点でカラダがすでにだるく、頭がどんよりと重たい日は、いつも以上に強く食いしばっていたのではないかと思っています。
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この悪い癖を防ぐ手立てのひとつは、ふだん、目につく場所に「食いしばるな」といった目印を張り、常に意識することだそうです。でも睡眠時は意識できないので、ひどいケースではマウスピースが必要になるのだとか。
ぼくの場合、起きている時間帯に口の閉じ方を意識し始めてから、悩まされていた頭痛がだいぶ楽になりました(歯と歯を触れさせず、舌を上あごにぴたりとつけるのが正しい口の閉じ方だそうです)。カイロプラクティックでカラダの歪みを矯正してもらった効果も出ていると思いますが。
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スポーツをやっていた人間は、ほんとうの集中とは「力を抜くこと」だと知っています。ぼくも陸上選手として力を抜く方法を自分なりに体得したつもりです。
でも仕事中は集中するほど、カラダのどこかに力が入ってしまう。
集中とは、力を抜くことにあり。
その意味では、ライターとしてはプロフェッショナルの域に達していないということになる。ライターになって14年。まだまだ鍛錬が必要なんだなあ。