文章がスルスルと書けるようになる(かもしれない)ペン・シャープナーとは?

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きょうは「書く×走る」の話。

ぼくの場合、自分の影を見ながら走るとリズムがよくなります。自分の影の動きは、当然だけど自分の体の動きとピタリと一致している。だから影の動きを見ながら走ると、体の動きが影の動きに同調しているように錯覚し、次第にリズムが生まれてくるのです。同調しているように錯覚し…というか、実際に同調しているのだけれど。

ややこしい話は抜きにして、影を見ながらだと単純に走りやすい。頭で描いているイメージ上の走りを、影が実演してくれているというか。影の動きにつられて体が動く、というか。いや正確にいえば、自分の体が動いているから、影も動いているのだけれど(説明がヤヤコシイ)。

 影が体の動きをリードしてくれるように、本業のほうでも、自分の筆さばきをリードしてくれる仕掛けはないものか。書けないときほどそう願う。

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ペン・シャープナーという言葉があります。直訳(?)は、「ペン先を鋭くさせるもの」。勝手に要約すると、「リズムよく原稿を書き出すため、前もって読むお気に入りの文章」という感じになるでしょうか。

 「この文章を読めば脳が不思議と研ぎ澄まされて、スルスルとペンが走り出す」――ライターであれば、誰でもひとつやふたつはそんなお気に入りの文章を持っているはず。

僕もいくつか持っています。そのなかのひとつは……なんと自分の文章です。良し悪しは別にして、自分で書いた文章は、自分が心地よいリズムで書いています。だから自分の文章を読むとリズムが生まれ、次第に「なんか書けそう」という気になってくるのです。

ノンフィクション作家の野村進さんも著書『調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)』で、仕事に取りかかる前の〝集中の儀式〟のひとつとして、このペン・シャープナーを紹介されていました。

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 原稿を書くために集中するのは、けっこうしんどい。そのとき、お気に入りの文章、つまりペン・シャープナーを何気なく読むことで脳がシャープになり、迷いなく書き始めることができたりします。

このペン・シャープナー、ランニングでいう影の役割と似ているかもしれない。影武者のごとく、だれかが勝手に文章を書いてくれたらいいけれど。そういうわけにはいかないか。

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